
ほっこり、神戸
ハイカラ・モダンの伝道師
「YANAGASE」中泉勉さんをたずねる。
 
この頃は失われつつある港町神戸の「ハイカラ・モダン」。その貴重な雰囲気を今に伝えるバーが、「YANAGASE」だ。
開店は昭和41年。以来変わらぬ建物は、瀟洒な造りの一軒家。寒い季節には、暖炉に薪がくべられる。
マスターの中泉勉さんは、この道38年のベテラン。ほどよい距離を保ちながらも真心のこもった接客は、イチゲンのお客でも我が家のように寛がせてくれると評判だ。
これまでに何人ものバーテンダーを育ててきた中泉さんの元では、現在も、数名の若手のバーテンダーが、日々、バーの技術の研鑽を積み重ねている。
 
中泉勉さん、語る。
暖炉のゆらぎに魅せられて
暖炉の力は、不思議ですね。炎がゆらいでいますでしょう。刻一刻と千変万化するこの炎の形を見ていますとね、身体はもちろん、心のほうまで暖まるようで、気持ちが安らかになるんです。
薪は、クヌギとサクラを奈良の山から引いています。春先に持ってきてもらいまして、夏を越して乾燥させます。
薪割りは、昔は私の役目でしたけど、今は若い者にまかせています。ですから、うちの若いバーテンダーは、店に入ってまず覚えるのは、カクテルのつくり方よりも、薪割りの方が先(笑)。でもこれがまた、足腰を鍛えることにもなりますから、結果、カクテルづくりにも役立つわけです。
それにしても、まあ、仕事とはいえ、ナタとチェーンソーの扱いを覚えて薪割りをしなければならない。そんなバーテンダーも、ちょっと珍しいかもしれませんね(笑)。
バックバーに、神戸が見える
バックバーの棚に並べるボトルを毎日磨く。これは、バーの仕事の基本の一つだと思います。
昔のバーテンダーはよく言ったものです。「ボトルは拭くのではない、磨くのだ」と。磨かなければ、中身のウイスキーがおいしく見えない、というわけです。
バックバーは、いわば「バーの顔」ですから、ボトルの肩にホコリが乗っていたのでは、具合が悪い。うちでは、いつも輝くボトルを心掛けています。
それから、ボトルの並べ方。
実は当店では、ちょっとしたこだわりがありまして、ずらりと並ぶボトルのトップが、なだらかなカーブを描くように、ボトルの高低の差を少しづつ付けて並べています。この曲線は、神戸の山の稜線と、神戸の海の波をイメージしたもので、私の密かなこだわりです(笑)。
 
一杯で楽しむ、二つのおいしさ
カクテルというのは、「ミクストドリンク」、何かと何かを合わせた飲み物ですね。
ですから、水割りも立派な一つのカクテルであると思っています。オンザロックもまたしかり。気を抜くことは、できません。
このブルーのラベルのバランタイン12年。これは、水割りにした時にもバランスを失うことのない秀逸なウイスキーだと思いますね。
うちではまず、オンザロックをおすすめします。その際、冷やし過ぎると香りが立ちませんから、ステアはしません。氷の上にウイスキーを静かにそそぐのみ。すると香りがふわりと浮いてきます。
そうして、二口、三口楽しんでいただいてから、「水を足しましょうか」と伺います。「ハイ」と言われれば、ウイスキーと同量の水をそそぎます。そして、この時にはよくステア。やはり、ウイスキーと水は、よく混ぜ合わせる方が味わいが高まるものと思います。
こうしてオンザロックから、1対1の水割りへ。一杯で、二つのおいしさを楽しんでいただける。バランスの良さを極めたバランタインならではの楽しみです。
YANAGASE(ヤナガセ)
| 住所 |
兵庫県神戸市中央区山本通1-1-2 |
| 電話 |
078-291-0715 |
| 営業時間 |
17:30〜0:00 |
| 定休日 |
無休(年末年始を除く) |

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